ウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffett)は、世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの創立者です。フォーブスの2019年の世界の億万長者ランキングでは、Amazonのジェフ・ベゾス、Microsoftのビル・ゲイツに次ぐ資産家とされています。1代で投資により資産を築き上げたことから、「投資の神様」とも言われています(投資の世界で知らない人は殆どいません)。
バフェットは年に一度、バークシャー・ハサウェイの投資家に対して、「バフェットからの手紙」を毎年出しています。この手紙も世界中の株にかかわる人たちが読んでいます。
ただ、バフェットから学ぶべきはその投資戦略の根底にある「考え方」です。バフェットの考え方は非常にシンブルですが、市場の変動に振り回されずひたすら耐えることが求められます。投資に関わってきた人間としても、実は忍耐の方が難しいかなと思うこともあります。投資戦略の要点を見ていきましょう。
目次
バフェットの投資戦略の要点は3つ(いい会社か、割安か、待てるか)
バフェットの投資戦略に関する書籍は数多あります。ただ、実際の投資戦略に役立てることを考えると、おすすめは、バフェットの息子の元夫人で投資家でもあるメアリーバフェットさんがまとめた「The Buffetlogy Workbook(日本の翻訳本は「バフェットの銘柄選択術」)です。
同書籍では、様々なバフェットの投資戦略が具体的に書かれていますが、その要点をまとめると、バフェットの投資戦略は非常にシンプルで、「いい会社を割安で買う」ということです。そのポイントを、図表にまとめました。
縦軸が株価、横軸が時間です。また実際の株価は太線で波を打って上がったり下がったりしていますが、その会社の実力に見合った適正な株価は点線になります。
バフェットが投資先を決め、売買するにあたってのPointは①成長する会社か?(いい会社か)、②適正な株価と比べ割安か(買い時か?)、③株価が上昇するまで待てるか、の3点になります。一つずつポイントの要点を見ていきましょう。
Point1 いい会社か?(長期でもうけを約束してくれる企業か?)
まずは株を購入するのは「いい会社」が第一の条件です。バフェットが主張するのは、「いい会社=長期的にもうけを約束してくれる会社」ということです。
成長する会社というのはおのずと利益も上がり、利益が上がればその企業の成長期待から株価もさらに上がります。
では長期で成長し利益を出し続ける会社とはどういう会社でしょうか?バフェットは「消費者独占的な企業」を特にターゲットにしています。
例えばappleやコカ・コーラのような、消費者に対して絶対的なブランド力を有することで、価格交渉力を持っている(値上げをしても消費者が逃げない)企業です。実際にバークシャー・ハサウェイはそうした企業の株を長らく保有し、株価上昇による利益を得ています。
ちなみにCNBCがバークシャー・ハサウェイのポートフォリオをHomepage上で公開しています。興味ある方はコチラをご覧ください。
Point2 適正な株価と比べて割安か?(買い時か?)
ただ、株価は変動しますので、買い時を誤るとどんなにいい企業でも、投資によるもうけはでてきません。
そこで次に考えるべきは、「適正な株価と比べて今が割安か」の見極めです。
そのためには、適正な株価水準や今が割安かどうかの見極めのために、バフェットは過去10年ぐらいの1株あたり利益(EPS)や自己資本利益率(ROE)などを重視しています。
EPS、ROEが過去10年みてもいい水準で、かつ、なんらかの要因で一時的に悪化している(市場関係者は悪い情報で売却している)企業こそが、ねらい目ということです。
Point3 待てるか?(自分の見方に信念を持てるか?)
最後のポイントは、株を購入したら忍耐強く待つということです。これは、最初にご紹介した「バフェットの銘柄選択術」にも必ずしも明確には書かれていないのですが、私自身の個人的な運用経験を踏まえると、非常に重要です。
どんなにいい会社で、割安だったとしても、株価が再び上昇するまで待ち続けなくてはいけません。
よくある失敗は、①割安だと思って買ったらさらに値段が下がってしまったので売却した、②値段がちょっと上がったので、利益を確保するために売ってしまった、の2つです。
いずれのケースにしても、早めに動いて失敗しないためには、自分の見方に対して「信念を持ち」、待つことが大事です。
バフェットがすごいと思うのは、株価が下がったタイミングでさらに買い増しをし、数年単位で待てることです。また割高だと思ったら購入を急がず、現金のままで購入するのを待てることです。
実はファンドマネージャーであるほど、短期間に結果を出さなくてはならないので、頭ではわかっていても行動が伴わないことは多いです。むしろサラリーマンや経営者など普段別の収入がある人の方が、気長に待てるのでバフェットの投資戦略を実現できるのかな、とも思います。