いい家を買う時の条件に「住宅性能」があります。住宅の性能というと、地震が起きても壊れない、ということも重要ですが、普段の生活で大事なことはやっぱり「あったかい家」。その時に重要になるのが、Q値、UA値、C値といった住宅を図る数値です。
あったかい家というのはどういうことかというと、熱が外に逃げない家、いわゆる断熱性や気密性が高い家になります。一方で、熱が逃げてしまう家(断熱性や気密性が低い家)というのは、ちょっと暖房を消すとすぐ寒くなってしまう。そんなおうちです。
分譲住宅や住宅展示場などでハウスメーカーを訪れると、その会社の住宅の良さをどの会社もアピールしますが、冷静に数値で確認することがやっぱり大事です。
分譲住宅でいろいろその営業マンがアピールしてくるときに、この家の「UA値、C値はどれぐらいですか?」と聞くと、きちんと勉強してきているな、と真剣に向き合ってくれる効果もあります。
以下で、Q値、UA値、C値を確認してきましょう。
目次
Q値(熱損失係数)は、熱が逃げにくいかを示す値
Q値とは、どれくらい熱が逃げやすい家かを図る数値で、「熱損失係数」をさし、家全体の断熱性能を図ることができる数値です。Q値が高いほど、熱が逃げてしまう(断熱性が低い)、Q値が低いほど熱が逃げにくい(断熱性が高く省エネにもなる)ということになります。Q値の計算方法は、以下の通りです。
「Q値 = (各部の熱損失量+換気による熱損失量) / 延べ床面積」
計算式を覚える必要はなくて目安が大事です。次世代省エネ基準ではQ値は2.7以下にということで定められており、一つの目安になるでしょう。
実はUA値のところでも紹介しますが、Q値は換気による熱損失も計算されているので、冷暖房代がどこが安いかを考える際には、Q値は良い指標です。
大手ハウスメーカーではおおむね2.7を下回る値を公表しているところが多いです。今後の住宅性能が改善されていくことは考えられますが、一つの目安としては2.0ではないかと思います。特にQ値が低いメーカーとしては一条工務店やスウェーデンハウスなどが、1を下回る数値を公表しています。
UA値(外皮平均熱貫流率)は、熱がどれぐらい外から入るかを示す値
UA値も、Q値と同じく断熱性能を図る数値です。
Ua値とは「外皮平均熱貫流率」のことで、どれぐらい熱が家の外から入ってくるのかを表す数値です。計算式は以下のとおりです。Q値と同様にUA値も、値が小さいほど断熱性能が高く、値が大きいほど断熱性能が低いことを示しています。
Ua値 = (各部の熱損失量の合計) / 延べ外皮面積
省エネルギー基準ではUa値が「0.40~0.60以下」になっているかどうかです。大手ハウスメーカーでもUA値0.6以下を実現できてないところもあり、一つの目安になるでしょう。
C値(延床隙間量)は、どれぐらい家に隙間があるかを示す指標
C値とは「延床あたり隙間量」のことで、どれくらい家にすき間があるのかを示す値です。C値が低いほどすき間が少ない家(高気密で防音性が高い家)、C値が高いほどすき間が多い家(気密性が低く防音性も低い家)であることになります。C値の計算式は以下です。
C値 = 住宅のすき間合計面積/ 延べ床面積
断熱性能がどんなに高くても、すき間がある家だと、なかなかあったかくなりません。C値が高い家だと、冷暖房費もかさむ傾向があります。
C値は住宅メーカーによっては公表していないところも多いです。ただ公表している企業では2.0以下であれば、相応に気密性が高い家と考えてよいかと思います。
Q値、UA値、C値の確認とともに、きちんと施工しているかの確認も大事
断熱性を示すQ値やUA値、気密性を示すC値の両方が高い家が「あったかいお家」と呼べるということになります。
断熱性や気密性が高い家というのは、カビも生えにくいですし、防音性にも優れていますので、その点でも家を買う前にただしく確認することは大事です。
またどんなにハウスメーカーがいい数値を公表していたとしても、施工する人がきちんとやってくれなければ意味がありません。分譲住宅の場合には、ハウスメーカーではなく建てた家がどうかの確認を、注文住宅の場合には、施工段階でも確認して、きちんと断熱材が使われているかなどのチェックをすることも大事になります。
外観や間取りももちろん大事ですが、住宅性能は長く住む観点で非常に重要になりますので、きちんとQ値、UA値、C値を確認するようにしましょう。
なお、こうした住宅を数値で評価する際の見方については、意外といい本が少ないのですが、「トクする家づくり、損する家づくり」という本は、実例なども踏まえてわかりやすくまとまっています。住宅購入を検討している方は参考にしてみてもよいでしょう。